夙川座が全曲オリジナルの上方ミュージカル「レイチェル・カーソン やめなはれDDT!」を11/21(土)大阪で上演

西宮を拠点に活動し、ユニークな音楽劇を制作してきた夙川座が、11月21日(土)クレオ大阪中央(大阪市立男女共同参画センター中央館)ホールで、上方ミュージカル「レイチェル・カーソン やめなはれDDT!」を上演する。世界的ベストセラーとなった「沈黙の春」で、農薬(DDT)の野放図な使い方に警鐘を鳴らしたアメリカ人作家で生物学者のレイチェル・カーソン(1907-1964)の生涯を題材に、文学と科学の間で揺れ動き、56歳で病に倒れた一人の女性の足跡をたどる作品だ。

11月5日夙川公民館で行われた通し稽古を取材した

原作・脚本・歌詞は、夙川座。声楽家(メゾソプラノ)でプロデューサーの浅川文恵さんと、劇作家で座付き作家の伊佐山紫文さんが共同で手掛けた。伊佐山さんは「この作品はいずれ上演したいと考えてきたテーマ。30年前、コープこうべの会員誌に環境問題の連載をしたのが、僕のライターとしての出発点でした。当時からお世話になった女性学や環境学などに詳しい学者の槇村久子さんが現在、大阪市男女いきいき財団の理事長をされており、この公演を共催できることにも不思議な縁を感じています」と言う。

クライマックスで全員が歌うオリジナル曲「神話」。今を生きる私たちにも響く人生賛歌だ

今回、特筆すべきはピアノ曲1曲を含む全14曲がすべてオリジナルだということ。作詞は伊佐山さんが、作曲は浅川さんと大阪音大の同級生で、京都在住の作曲家・山田美由紀さんが担当。「出演する歌い手さんたち一人ひとりの声のトーンやキーの高さ、歌い方を考えて、メロディーを当て書きしていきました」と話す。

演出は、俳優としても活躍し、様々な舞台美術や舞台監督に携わってきた樋口友治さん。現在はリニューアル中の柳川市民文化会館の立ち上げに携わっているが、リモートも使いながら稽古をつけてきた。出演するメンバーは2019年6月公演「クララ・シューマン 天才のヨメはん」(全2幕)で共演したメンバーが再結集し、息もピッタリ。主人公レイチェルを演じる若手声楽家・藤本裕貴さん(ソプラノ)は「夙川座は、女性たちが苦しい中で自分らしく生きようとしたことがテーマの作品を作ってきました。レイチェルが生きた時代は、まだ男尊女卑の風潮が強かった時代でしたが、彼女は芯がしっかりした、信念を曲げない、尊敬できる女性」と言う。

コミカルな笑いを巻き起こす夙川マダムスたち

レイチェルの本を世に出した編集者ポールに西村圭市さん(バリトン)、ライバルの科学者ジョンに谷浩一郎さん(テノール)。浅川さんはレイチェルとジョンの恩師スキンカーとして登場。二胡奏者の鳴尾牧子さんは迷いの森の謎の中国人、子役のロジャーは杉山新さんだ。

レイチェルの友人ドロシー役で、劇中でピアノ伴奏をする崎谷千恵さんは「山田さんの作曲は、1970年代のポップスを思わせる、かわいいキャッチ―なメロディーが楽しいです」と話す。

もちろん、これまでの夙川座の上演作品を踏襲し、セリフは関西弁。随所で上品な笑いを巻き起こす夙川マダムスたち(辻田千里さん、久保三加代さん、中西優子さん)の演技にも磨きがかかっている。

主人公レイチェルと謎の中国人の間で演技しているのが舞台手話通訳として初登場するキティーズの一人、下坂幸恵さん

今回、特定非営利活動法人TA-net(シアター・アクセシビリティ・ネットワーク)の協力を得て、新たに加わった手話通訳キティーズの3人(橋本由美子さん、花山教子さん、下坂幸恵さん)は、レイチェルの飼い猫として演技もしながら手話もしていく。「まだあまり知られていないと思いますが、舞台手話通訳は通常の手話通訳ではありません。通常の手話通訳は、舞台袖に直立不動で立って、言葉を逐一訳していきます。すると、字幕付きの映画で画面を見ずに文字ばかり追うことがあるように、手話ばかりに視線が行って舞台全体を味わえない。私たち舞台手話通訳は、舞台上で進行する物語に絡み、必要最小限の手話を届けるのです」とキティーズの下坂さんは話す。

 

会場のクレオ大阪中央ホールは大阪メトロ「四天王寺前夕陽ヶ丘」から徒歩約3分。14時開場、14時30分開演(16時終演予定)。前売り3,000円、当日3,500円。

主催:夙川座/大阪市立男女共同参画センター中央館 指定管理者:大阪市男女共同参画推進事業体(代表者:大阪市男女いきいき財団)。後援:大阪音楽大学同窓会≪幸楽会≫、関西・大阪21世紀協会、京都音楽家クラブ、公益財団法人日本対がん協会。協賛企業: セキセイ株式会社。

 

問い合わせ・予約は

夙川座 TEL090・8043・0352、Eメール:shukugawaza@gmail.com

大阪市立男女共同参画センター中央館 TEL06・6770・7200

 




※上記の情報は掲載時点のものです。料金・電話番号などは変更になっている場合もあります。ご了承願います。
カテゴリ: エンタメ, 地域